「接客がつらくて事務に移りたい。でも、事務にしたら今度は『つまらない』と後悔しないだろうか」——。販売や接客から事務職を考えるとき、こんな不安が頭をよぎる方は多いと思います。人と話すのが当たり前だった毎日から、デスクに向かう毎日へ。変化が大きいぶん、迷うのは自然なことです。
この記事を書いている私(当サイト運営者)は、日用品や工具の販売を約10年続けたあと、37歳・未経験で事務職に転職しました。今は総務の庶務と経理の補助をしています。
先に結論をお伝えすると、接客から事務に移って後悔するかどうかは、「何から離れたかったのか」と「事務に何を期待したのか」で大きく変わると考えています。私自身は後悔していません。ただし、楽になったわけではなく、しんどさの種類が変わったというのが正直な実感です。
※体験の部分は、あくまで私個人の一例です。働き方は会社や職場によって大きく異なります。
接客から事務に移って「後悔した」と言われやすい5つのこと
接客・販売から事務に移った人の声として、よく挙がるのが次のような点です。どれも「事務が悪い」というより、接客との違いが大きいからこそ感じやすいギャップです。
① 人と話す機会が減って、物足りない
接客では、1日に何十人ものお客様と言葉を交わすこともあります。事務では、話す相手が社内の人や取引先に限られ、黙ってパソコンに向かう時間が長くなる職場もあります。お客様からの「ありがとう」が励みだった人ほど、静かな職場を物足りなく感じることがあると言われます。
② 成果が見えにくい
販売なら、売上や客数、目の前のお客様の反応など、頑張りが目に見える形で返ってきます。一方、事務の仕事は「ミスなく終わって当たり前」と受け取られやすく、達成感を得にくいと感じる人もいます。
③ 同じ作業の繰り返しに感じる
データ入力や書類の確認など、毎日・毎月同じ流れで進む仕事が多いのも事務の特徴です。日によって状況が変わる接客に慣れていると、「つまらない」と感じる人がいます。ただ、ルーティンが落ち着くという人にとっては、むしろ長所になる部分でもあります。
④ 年収が下がった
未経験から事務に移ると、最初は給料が下がることが少なくありません。販売・接客時代の給料に残業代や手当が多く含まれていた場合は、その差を大きく感じやすいようです。
⑤ 社内の人間関係が狭い
接客では毎日違うお客様と接しますが、事務は決まったメンバーと長く顔を合わせます。少人数の部署だと、人間関係が合わなかったときに距離をとりにくい、と感じる人もいます。
こうして並べてみると、後悔の声の多くは「接客にあって、事務では少なくなるもの」に向いていることが分かります。人との会話、目に見える反応、日々の変化。これらが自分にとってどれくらい大事だったかが、後悔するかどうかの分かれ目になりやすいのです。
逆に「後悔しなかった」人に共通すること
一方で、接客から事務に移って「変えてよかった」と話す人もいます。そうした人には、次のような共通点があると言われます。
休日や時間を取り戻したかった
土日や連休に休みたい、家族と予定を合わせたい、自分の時間がほしい——。転職のいちばんの目的が「働き方」にあった人は、事務に移ったあとも満足しやすい傾向があるようです。目的がはっきりしていて、それが叶っているからです。
接客そのものは嫌いではなかった
意外かもしれませんが、「接客が嫌で逃げた」人より、「接客は嫌いではないけれど、働き方を変えたかった」人のほうが、後悔が少ないと言われます。人と関わる力を持ったまま事務に移るので、社内の調整や電話・来客の対応でそれを活かせるからです。
事務の中身を調べてから選んだ
一口に事務といっても、一般事務・営業事務・経理・総務など、仕事の中身はさまざまです(→事務職の種類と選び方|一般事務・営業事務・経理・医療事務の違い)。「事務=座ってできる楽な仕事」というイメージだけで選ばず、自分が何をするのかを確かめてから入った人は、入社後のギャップが小さくて済みます。
- 「接客から離れたい」だけで選んだか、「こう働きたい」という目的があったか
- 事務に「楽さ」を期待したか、「働き方の変化」を期待したか
- 事務の種類や仕事内容を、入る前に確かめたか
自分に向いているかどうかが気になる方は、事務職に向いてない人の特徴|ミスマッチを防ぐ自己チェックもあわせて読んでみてください。
私の場合:接客から事務に移って、後悔はしていません
後悔していない理由
私は地方の小売店で、日用品や工具の販売を約10年していました。人員に余裕のないお店で、休みの日でも欠員や急病があれば呼び出されることがありました。残業代をつけると店舗の評価が下がる環境で、当時の私はそれを「そういうものだ」と受け入れていました。拘束時間も長い仕事でした。
事務に移っていちばん大きかったのは、休みが休みになったことです。休日に職場のことを考えなくてよくなり、拘束時間が減って、自分の時間が戻ってきました。担当した仕事の成果が、任される範囲や評価に反映されていると感じられることも支えです。変化の中身は小売から事務に移って変わったこと|休日・時間・評価のリアルにくわしく書いています。
それでも大変だったこと
とはいえ、楽になったわけではありません。今の職場は総務・経理・会計・庶務を4人で回しているので、日々の業務に追われています。年収も、2年目までは小売時代より下がりました(→事務職に転職したら年収は下がる?販売から移った私の正直な話)。
正確に言うと、大変さが消えたのではなく、大変さの種類が変わったのだと思います。それでも後悔していないのは、大変さの中身を自分で選べるようになったからです。
接客の経験は、今も活きている
販売の仕事そのものは、嫌いではありませんでした。副店長として、社員教育も担当していました。
今の仕事は、来客対応・備品管理・電話対応がメインです。電話対応は前職で慣れていたので、自分から積極的に取るようにしています。振り返ると、私が後悔していないのは、「接客から逃げた」のではなく「働き方を変えた」からなのかもしれません。
後悔しないための事前チェック
接客から事務への転職で後悔を減らすには、応募する前の確認がいちばん効きます。次の4つを見ておくと安心です。
- 年間休日と残業時間……年間休日120日前後が、土日祝が概ね休みになる目安です。残業は「月平均◯時間」と具体的な数字があるかを見ます
- 事務の種類と「誰を支えるか」……営業担当を支えるのか、社員全体を支えるのか、お金を扱うのかで、毎日の仕事は大きく変わります
- 人と関わる場面がどれくらいあるか……接客を完全に手放したくないなら、受付・営業事務・来客対応のある総務も候補に入れます
- 年収の変化……今の給料に残業代がどれくらい含まれているかを確かめ、転職後の金額と比べて試算しておきます
特に3つ目は、「人と話すのは好き」という方に考えてほしいポイントです。事務にも人と関わる仕事はあります。営業事務は営業担当や取引先とのやりとりが多く(→営業事務の仕事内容とは?一般事務との違いと未経験から目指すポイント)、総務は社員や来客の対応を担うことがあります(→総務の仕事内容とは?未経験から総務部で働く私が実際の担当を紹介)。「接客か、事務か」の二択ではなく、その間にある仕事を探すという考え方もあります。
事務が「つまらない」と感じたときの考え方
入社してから「つまらないかもしれない」と感じることもあるかもしれません。そんなときに考えてみてほしいことを3つ挙げます。
慣れるまでの時期は、仕事の全体が見えにくい
最初の数か月は、仕事の流れが分からず、言われた作業をこなすだけになりがちです。仕事の全体が見えてくると、ひとつひとつの作業が何につながっているかが分かり、感じ方が変わることがあります。
任される範囲が広がると、変わることがある
事務の仕事は、経験を積むにつれて任される範囲が広がっていくことが多いです。決められた作業から、段取りを考える仕事、改善を提案する仕事へと移っていくと、成果が見えにくいという感覚も変わっていきます。
それでも合わなければ、職種を見直してもいい
時間がたっても合わないと感じるなら、事務の中で種類を変える、人と関わる仕事に戻るといった選択も考えてよいと思います。それは失敗ではありません。一度事務を経験したことは、自分に合うもの・合わないものを知る材料になります。
よくある質問
Q. 接客のスキルは、事務では無駄になりますか?
無駄にはならないと考えています。言葉づかい、相手の様子を見て動く気配り、複数のことを同時に進める段取りは、電話・来客の対応や社内のやりとりでそのまま使えます。私の場合も、前職で慣れていた電話対応を、今の職場で自分から引き受けています。
Q. 事務にしてから接客に戻る人はいますか?
いると言われます。人と話すことが自分の大きなやりがいだったと、事務に移ってから気づく人もいるようです。戻る場合も、事務で身につけたパソコン作業や書類の扱いは、店舗の管理業務などで活かせることがあります。
Q. 迷っているなら、接客と事務の両方の要素がある仕事はありますか?
受付、営業事務、来客対応のある総務、医療事務などが候補になります。医療事務は受付での患者さん対応を含むことが多い仕事です(→医療事務は未経験から目指せる?仕事内容と必要なこと)。求人票の仕事内容に「来客対応」「電話対応」「窓口」などの言葉があるかを確かめると、人と関わる度合いの目安になります。
まとめ:後悔するかどうかは「何を求めて移るか」で変わる
接客から事務に移って後悔しやすいのは、人との会話や目に見える反応など、接客にあったものが自分にとって大事だった場合です。反対に、休日や時間を取り戻したい、働き方を変えたいという目的がはっきりしている人は、後悔しにくい傾向があります。
私自身は、休みが休みになり、時間が戻ってきたことで、事務に移って後悔はしていません。ただ、楽になったのではなく、大変さの種類が変わりました。迷っている方は、「何から離れたいのか」と「事務に何を期待するのか」を一度書き出してみてください。それが、後悔しない選び方の第一歩になると思います。
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