「面接で、何を見られているのか分からない」「落ちたけれど理由が分からず、次にどう直せばいいのか分からない」——。受ける側にいると、面接官の頭の中は見えません。手応えがあったのに落ちたり、うまく話せなかったのに通ったりすると、なおさら分からなくなるものです。
私(当サイト運営者)は、日用品や工具の販売を約10年続けたあと、37歳・未経験で事務職に転職しました。今は総務の庶務と経理の補助をしています。そして最近、現職でアルバイト・契約社員の採用面接を担当するようになりました。書類選考で落ち続けた側が、今は採用する側の席にも座っている、ということになります。
先に結論をお伝えすると、私がいちばん見ているのは「長く続けられそうか」です。スキルの高さよりも、仕事内容を理解しているか・今いるメンバーと合いそうか・準備してきたかを、私はよく見ています。
この記事では、私が担当している面接で見ているポイントを、見ている順にお話しします。※あくまで「私が担当している面接では」という話です。会社や面接官によって、見るところは変わります。
先にお伝えしておきたい、私の立場
- 私が担当しているのは、主に二次面接です
- 一次面接は、配属先の部署の上長が担当しています
- そのため二次では、一次である程度絞られた方とお会いします
- だから二次は、「本当にうちで続けられそうか」を確かめる場になっています
一次面接を通った方については、仕事に必要な基本の部分を、配属先の上長がすでに見ています。そのため二次の私は、「できるかどうか」を一から確かめるより、入社したあとに無理なく続けられそうかを確かめる役割だと考えています。
なお、一次と二次で誰が何を担当するかは、会社によって違います。一般的な違いは事務の一次面接と二次面接の違い|聞かれることと準備の変え方にまとめています。
見ていること①「長く続けられそうか」
いちばん大切にしているのが、ここです。具体的には、一次面接で説明された仕事の内容を、本当に理解しているかを、二次であらためて確認しています。
一次で説明を受けていても、緊張していると、聞いた内容は頭に残りにくいものです。また、応募した方が思い描いている仕事と、実際の仕事に、ずれがあることもあります。このずれが大きいまま入社すると「思っていた仕事と違った」となりやすく、ご本人にとってもつらくなります。だから二次は、ご本人のイメージと実際の仕事のギャップを埋める場でもある、と私は考えています。
受ける側として準備できることは、次の2つです。
- 一次で聞いた仕事内容を、自分の言葉で言い直せるようにしておく。一次のあとにメモを残しておくと、思い出しやすくなります
- 分からなかった点・気になった点は、そのまま質問してよい
「分からないことを聞いたら、理解していないと思われるかも」と心配になるかもしれません。でも採用する側の私からすると、分からないまま入社されるより、面接の場で確かめてもらえるほうがずっと安心です。質問の仕方は事務の面接で使える「逆質問」例文15選|何も思いつかない人へも参考にしてください。
見ていること②「今いるメンバーとの相性」
二つ目は、今いるメンバーと合いそうかです。言いかえると、職場の雰囲気を壊さずに、なじんでもらえそうかどうか。これは答えの中身というより、面接中の様子から判断しています。
誤解してほしくないのは、相性は「良い・悪い」ではなく「合う・合わない」だということです。にぎやかな人が合う職場もあれば、落ち着いて黙々と進める人が合う職場もあります。合わなかったとしても、それはその人の価値が低いという意味ではありません。
受ける側としては、取り繕うより、落ち着いて普段どおりに話すのがいちばんだと思います。無理に明るく見せたり、別の自分を演じたりすると、入社してから苦しくなるのはご自身です。普段どおりの姿を見てもらって、それで合う職場に入るほうが、結果として長く続けやすくなります。
見ていること③「準備してきたか」
三つ目は、しっかり準備してきているかです。準備の跡は、受け答えの中に自然と出てきます。
- 応募先の会社のサイトを見て、何をしている会社かをつかんでおく
- 求人票と、一次で聞いた内容を読み返しておく
- 聞かれそうな質問への答えを、声に出して練習しておく
答えを丸暗記する必要はありません。一度声に出しておくだけでも、当日の話しやすさは変わってきます。よく聞かれる質問の答え方は事務の面接 回答例12問|未経験のよくある質問の答え方に、練習のやり方は事務の面接の練習方法|一人でできる準備から模擬面接までにまとめています。
準備は、書類の段階から見えています
面接の前に手元に届く履歴書も、準備の跡が出るところです。志望動機・学歴・職歴の欄が空欄のまま提出された履歴書を受け取ったことがあり、理由をうかがうと、書き忘れや書類の取り違えが多いようでした。私の場合は、アルバイトの応募であっても、その時点で厳しい判断をしています。面接でどれだけ話せても、書類の空欄は「準備しなかった」と受け取られやすいからです。出す前に全部の欄が埋まっているかを確かめる。それだけで避けられるつまずきです(→未経験事務の履歴書の書き方|基本とつまずきやすい欄)。
志望動機で、うれしくなる瞬間
準備の跡がいちばん分かりやすく出るのが、志望動機です。私の場合、応募した方がうちの会社の内容を調べて、それに合わせて話してくれているだけで、とても好感を持ちます。
さらにうれしくなるのは、普段の自分の興味や関心と、うちの会社の事業や商品を関連づけて話してくれたときです。
反対に、どこにでも通用するような志望動機だったときは、正直に言うと「もっと真剣に応募してほしい」という気持ちになりました。
準備としておすすめなのは、会社のサイトや商品を一度見て、自分の興味とつながる点を1つ探しておくことです。大きな話でなくてかまいません。その1つがあるだけで、志望動機はその会社に向けた言葉になっていきます。
見ていること④「他責の言葉が多すぎないか」
四つ目は、転職を考えている方の場合に気にしている点です。退職理由などを話すときに、前の職場や周りの人のせいにする言葉が続いていないかを見ています。
前の職場で大変なことがあったのは、事実だと思います。それを話すこと自体は、かまいません。ただ、「会社が〜」「上司が〜」という言葉ばかりが続くと、聞いている側は「うちで同じようなことが起きたら、どう受け止めるだろう」と考えてしまいます。
おすすめは、事実を伝えたうえで、「自分はどう考えて、次を選んだか」で締めることです。たとえば、次のような言い方の違いです(説明のための例です)。
- △「人手が足りず、休みも取れない職場だったので辞めました」
- ◯「人手が足りず、休みが取りにくい状況が続きました。その中で、腰を据えて長く働ける仕事に就きたいと考え、事務職を選びました」
同じ事実でも、最後が自分の考えで終わると、前を向いている印象になります。退職理由の言いかえ方は事務の面接 回答例12問|未経験のよくある質問の答え方のQ2でも紹介しています。
見ていること⑤「服装のサイズと靴」
五つ目は身だしなみです。とはいえ、見ているところは多くありません。
- 服のサイズが合っているか
- 靴を丁寧に脱ぎ履きしているか
- 靴が変に汚れていないか
ブランドや値段は見ていません。高い服である必要はなく、サイズが合っていて、手入れされているかが大切だと考えています。しばらく着ていなかったスーツやジャケットは、肩・おなか回り・丈が合っているか、前もって一度着てみると安心です。
靴は、意外と見落としやすいところです。前日に汚れを拭いておくこと。靴を脱ぐ場面があれば、あわてずに脱いで、向きをそろえておくこと。どちらも特別なマナーというより、ふだんの丁寧さが表れるところだと思います。
服装の選び方は事務の面接の服装|男女別の実例イラスト付き・私服OKの答えもと事務のパート・アルバイト面接の服装|スーツは必要?夏冬・私服OKもに、当日の持ち物は面接の持ち物と到着時間|事務の面接当日に慌てないための準備にまとめています。
逆に、思っているほど見ていないこと
面接を受ける側が心配しがちなことの中には、私が見ている5つに入っていないものもあります。
- 緊張して、言葉に詰まること
- 完璧に整った志望動機
- 資格を持っているかどうか
緊張して言葉に詰まることは、私が見ている5つには入っていません。詰まったら、少し間をおいて言い直せば大丈夫です。
志望動機も、きれいに整った言葉かどうかより、①でお話ししたように仕事の内容を理解しているかのほうを見ています。
資格も、私が見ている5つには入っていません。ただし、求人によっては資格が応募の条件になっていることもあるので、求人票の記載は確認しておきましょう。
※これも私の場合です。面接官や会社によって、重く見るところは違います。
受ける側に戻って:私が落ち続けた理由を、面接官の目で見直す
最後に、少し自分の話をさせてください。私は転職活動のとき、大手ばかりに応募して、約60社のうち書類が通ったのは5社ほどでした。当時は「未経験歓迎と書いてあるのに、なぜ通らないんだろう」と思っていました。
採用する側に座ってみて思うのは、当時の私は「この人がうちで長く働いてくれるか」を相手に想像してもらえる材料を、うまく出せていなかったのかもしれない、ということです。
転機は、転職エージェントの助言で、中小・伸び盛りの企業に目を向けたことでした。最終的に評価されたのは、「売る実績」よりも、副店長として店を支え、社員教育を担当してきた経験です。今思えば、それは「入社したあと、この人がどう働くか」を相手が思い描ける材料だったのだと思います(→日用品や工具の販売から、未経験で事務職に転職した私の話)。
採用する側になった今、私が知りたいのも同じことです。
- 前の仕事で、何を任され、何を支えてきたか
- それを、うちの仕事でどう続けていけそうか
この2つを自分の言葉で話せるように準備しておくことが、面接官の想像を助けることにつながると、私は考えています。
まとめ:面接官が見ているのは「入ったあとの姿」
私が担当している面接で見ているのは、①長く続けられそうか ②今いるメンバーとの相性 ③準備してきたか ④他責の言葉が多すぎないか ⑤服装のサイズと靴、の5つです。どれも特別なスキルではなく、準備で変えられることです。
- 一次面接や求人票で知った仕事内容を、自分の言葉で説明できるか
- 分からないこと・気になることを、質問として用意したか
- 会社のサイトを見て、答えを声に出して練習したか
- 退職理由を「自分はどう考えて次を選んだか」で締められるか
- 服のサイズは合っているか、靴はきれいか
完璧な受け答えを目指さなくて大丈夫です。普段どおりの自分で、準備してきたことを落ち着いて伝えてみてください。
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