「事務の求人を見ると、資格欄が気になる」「資格がないと応募できないの?」「何か取っておいたほうが有利?」——。未経験から事務を目指すとき、まず資格のことで手が止まってしまう方は多いと思います。
私(当サイト運営者)は、日用品や工具の販売を約10年続けたあと、37歳・未経験で事務職に転職しました。持っていた資格は、独学で取った簿記3級だけです。MOSは持っていません。この記事は、その経験と、事務の資格についての一般的な情報をもとに書いています。
先に結論をお伝えすると、事務職は資格が必須の仕事ではありません。取るなら、「目指す事務の種類」に合わせて1つで十分です。そして資格より先に、パソコンで何ができるかを具体的に言えるようにしておくことのほうが、応募の場面では役に立ちやすいと感じています。
※資格の内容・試験日・受験料などは変わることがあります。受験を考えるときは、各資格の公式サイトで最新の情報をご確認ください。
先に知っておきたい「事務と資格」の現実
資格を選ぶ前に、事務の求人と資格の関係を整理しておきましょう。
- 資格が「必須」の事務求人は一部……「資格不問」「あれば尚可」とする求人も多く見られます。医療事務や経理などで、資格や知識が歓迎されることがある、という位置づけです
- 資格は「学ぶ姿勢」と「最低限の知識」の証明……持っているだけで「仕事ができる」と見られるわけではありません
- 資格の勉強で応募を先延ばしにしない……勉強中でも応募はできます。合格を待つうちに時間が過ぎてしまうほうが、もったいないこともあります
資格は「入り口を少し広げる道具」くらいに考えると、選び方で迷いにくくなります。
事務の種類別・おすすめ資格の比較表
事務の転職でよく名前が挙がる資格を、向いている事務の種類ごとに並べました。難易度は3段階の大まかな目安で、級やレベルによって変わります。
| 資格 | 向いている事務 | 難易度の目安 | 独学しやすさ | ひとこと |
|---|---|---|---|---|
| 簿記3級(日商簿記) | 経理事務・営業事務 | ふつう | ○ 市販のテキストが多い | 経理を目指すなら最初の1つ |
| 簿記2級(日商簿記) | 経理事務 | やや難 | △ 範囲が広く、講座を使う人も多い | 経理で長く働きたい人の次の目標 |
| MOS(Word・Excel) | 一般事務・営業事務など事務全般 | ふつう | ○ テキストと模擬試験で進めやすい | PC操作に自信をつけたい人向け |
| 日商PC検定などのPC系の検定 | 一般事務・営業事務など事務全般 | ふつう(級による) | △ 級や対策方法を公式で確認 | 文書や表をつくる力を示せる |
| 医療事務の民間資格 | 医療事務(病院・クリニック) | ふつう | △ 通信講座で学ぶ人が多い | 人気職種で入り口を広げたい人向け |
| 秘書検定 | 受付・総務・秘書など | 易しい(級による) | ○ 市販のテキストが多い | ビジネスマナーをまとめて学べる |
| ビジネス文書・ビジネスマナー系の検定 | 一般事務・総務など | 易しい | ○ 基礎の確認に向く | 文書の書き方・敬語の基礎固めに |
※難易度・独学しやすさは一般的な目安です。合格率・受験料・試験日程などは変わるため、各資格の公式サイトでご確認ください。
資格ごとのポイント
表だけでは分かりにくいところを、資格ごとに短く補足します。
簿記3級:経理を目指すなら最初の1つ
簿記3級は、会社のお金の出入りを記録する「簿記」の基礎を学ぶ資格です。伝票や請求書を扱う経理事務とは特に相性がよく、売上や請求を扱う営業事務でも、数字に強い印象につながります。
一方で、入力や電話・来客対応が中心の一般事務では、必須とされることは多くありません。市販のテキストで独学する人も多い資格です。メリットや勉強の進め方は簿記3級は事務に活かせる?取るメリットと活かし方|未経験にまとめています。
簿記2級:経理で長く働きたい人の次の目標
簿記3級の先にあたる資格で、学ぶ範囲がぐっと広がります。未経験の応募段階でいきなり目指すより、経理の仕事に進むと決めてから考えるくらいでちょうどよいと思います。
私自身は2級を受験していませんが、経理の補助をしていて「実務では2級レベルの知識が必要だ」と感じています。独学のほか、講座を使って学ぶ方法もあります。
MOS(Word・Excel):PC操作の根拠を作りたい人に
MOSは、WordやExcelの操作スキルを証明する資格です。実際にパソコンを操作する形式の試験なので、勉強そのものが事務の練習になるのが良いところです。
「パソコンはできます」と言える根拠がまだない人には、手堅い選択肢です。ただし、持っていれば有利になる万能の資格ではありません。独学の進め方はMOS資格は独学で取れる?費用と勉強の進め方|未経験事務で紹介しています。
日商PC検定などのPC系の検定
WordやExcelを使って、文書や表をつくる力を測る検定です。ビジネスの場面を想定した内容が特徴とされています。
MOSとどちらにするか迷ったら、教材の探しやすさや受験のしやすさを公式サイトで比べて決めるとよいでしょう。
医療事務の民間資格
医療事務の資格は、民間のものがいくつかあります。必須ではないことが多いものの、レセプト(診療報酬明細書)などの専門的な知識を学べるため、人気が高い医療事務では入り口を広げる助けになります。
通信講座で学ぶ人も多い分野です。仕事内容とあわせて医療事務は未経験から目指せる?仕事内容と必要なことで確認してみてください。
秘書検定
秘書検定は、秘書の仕事に限らず、言葉づかい・来客応対・電話応対などのビジネスマナーを幅広く学べる検定です。受付や総務など、社外の人と接する事務と相性がよいと言われます。
販売や接客の経験がある方は、ふだんしてきた対応を「言葉で整理し直す」感覚で取り組めるかもしれません。
ビジネス文書・ビジネスマナー系の検定
社内外の文書の書き方や、敬語・マナーの基礎を確認できる検定です。資格そのものより、メールや案内文を整えて書く力が、入社後の仕事にそのまま役立ちます。
「文章を書くのが苦手」という方の基礎固めとして考えるとよいでしょう。
資格より先にやっておきたいこと
資格の勉強を始める前に、ひとつやっておいてほしいことがあります。それは、「パソコンで何ができるか」を具体的に書き出すことです。
面接では「パソコンはどのくらい使えますか?」と聞かれることがよくあります。「Excelは使えます」だけでは伝わりにくいので、次のように具体的に言えるようにしておくと安心です。
- タイピング:キーボードを見ずに、止まらず入力できる
- Word:文書を作り、文字の大きさや配置を整えられる
- Excel:表に入力し、合計(SUM)などの簡単な計算ができる
- 調べる力:分からない操作は、自分で調べて解決できる
※あくまで例です。盛らずに、今できることを正直に書き出してください。
書き出してみて足りない部分があれば、資格より先にその練習をするのが近道です。必要なPCスキルの目安は未経験事務に向けたPCスキル準備|MOS・簿記は必要?、独学の進め方は事務のExcel・Wordは独学できる?進め方とつまずきにくいコツにまとめています。
私の場合:簿記3級だけ、MOSなしで転職しました
持っていた資格は簿記3級だけ
事務職に転職したときに持っていた資格は、独学で取った簿記3級だけでした。MOSは持っていません。それでも、事務職への転職はできました。
パソコンへの慣れは、資格の勉強からではなく、副業で続けていた文字入力の代行や、WordPressの作業から身についたものです。
評価されたのは「店を支えた経験」
転職活動では、最初は大手ばかりに応募して、書類選考で落ち続けました。エージェントの助言で中小・伸び盛りの企業に方向を変えたところ、内定をいただけました。
振り返ると、評価されたのは販売で「売った実績」よりも、副店長として店を支え、社員教育をしてきた経験だったと感じています。
今は「2級レベルが必要」と感じている
今は総務の庶務と経理の補助をしています。経理の補助をしていると、3級の知識だけでは足りず、2級レベルの知識が必要だと感じる場面があります。
資格は「なくても転職できる」ものであり、「取れば転職できる」ものでもない、というのが私の実感です。転職までの流れは日用品や工具の販売から、未経験で事務職に転職した私の話に書いています。
迷ったときの選び方
どれを取るか迷ったら、資格の名前からではなく、目指す事務の種類から考えてみてください。
- 経理事務に進みたい → 簿記3級
- パソコンに自信がない → MOS、またはExcel・Wordの独学
- 医療事務を目指している → 医療事務の民間資格
- 特に決まっていない → 資格より、応募と並行してPCの練習
目指す事務がまだ決まっていない方は、事務職の種類と選び方|一般事務・営業事務・経理・医療事務の違いから見てみると、選ぶ資格も見えやすくなります。経理に興味がある方は経理事務は未経験から目指せる?仕事内容と必要なこともどうぞ。
よくある質問
Q. 資格を取ってから応募したほうがいいですか?
合格を待ってから応募する必要はない、と私は考えています。資格不問の求人もあるので、勉強と応募を並行し、面接で勉強中であることを伝える方法もあります。ただし、医療事務などで資格を応募条件にしている求人もあるため、求人票の応募条件は確認しておきましょう。
Q. 履歴書に「勉強中」と書いてもいいですか?
資格欄に「◯◯取得に向けて勉強中」と書く方法は、よく使われています。学ぶ姿勢を伝える材料になります。ただ、面接で「どこまで進んでいますか?」と聞かれることもあるので、実際に進めている内容を説明できるようにしておくと安心です。履歴書全体の書き方は未経験事務の履歴書の書き方|基本とつまずきやすい欄にまとめています。
Q. 30代・40代でも資格を取る意味はありますか?
意味はあると思います。ただ、年齢にかかわらず、資格だけで採用が決まるわけではありません。30代・40代では、これまでの仕事の経験を事務でどう活かせるかも見られやすいと言われます。資格は「学ぶ姿勢」の裏付けとして、経験の話と組み合わせて伝えると、話に説得力が出やすくなります。年齢の不安については30代・40代から未経験で事務は厳しい?年齢の不安への向き合い方にまとめています。
まとめ:資格は「目指す事務」に合わせて1つ。まずはPCで何ができるかから
- 事務職は資格が必須の仕事ではない。資格不問の求人もある
- 取るなら、目指す事務の種類に合わせて1つ(経理なら簿記3級、PCに不安があるならMOS、医療事務なら医療事務の資格)
- 資格より先に、パソコンで何ができるかを具体的に言えるようにする
- 勉強中でも応募はできる。資格を理由に先延ばしにしない
「何を取れば有利か」で迷ったら、まずは目指す事務の種類と、今パソコンでできることを書き出すところから始めてみてください。
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